特集

ジョン・レノンも通った貸自転車店「サイクルメイトQ」店主、オノ・ヨーコさん90歳誕生日に語る

  • 0

  •  

 軽井沢町で貸自転車店「サイクルメイトQ」を営む旧軽店店主の松崎和江さん・さや香さん親子に軽井沢で貸自転車店を営む中での思い出話を聞いた。同店にはかつて、2月18日に90歳の誕生日を迎えたオノ・ヨーコさんも通った。

写真)「サイクルメイトQ」旧軽店店主松崎和江さん、娘のさや香さん

-「サイクルメイトQはここ旧軽本店、駅前店、新軽店とありますが、どの店が一番長いのですか?

(和江)ここ旧軽本店が一番長いのですが、ここの前身は衣料品店だったんです。私の父が衣料品店を営む方から1959(昭和34)年に引き継いで、そのまま衣料品店を営んでいました。1977(昭和52)年4月に自転車店に業態が変わりました。ちょうど娘が生まれた年です。

-「サイクルメイトQ」のQは旧軽井沢のQなのですか? 旧軽井沢は外国人の方も多いエリアなのでアルファベットに?

(和江)店名を「サイクルメイト」にしようとは決めていて、旧軽井沢だから「キュウ」にしようと、なんとなくアルファベットにしてみたんです。

-そもそもなぜ衣料品店から貸自転車店に? 当時のブ-ムだったとか? だんだん軽井沢に貸自転車店が増えてきたころでしょうか?

(和江)当時、自転車販売店や修理店が自転車を貸し出し始めていましたが、当店は最初から貸自転車店としてスタートしました。夏の観光客、別荘地の方だけでなく、色々な店の人の足代わりとしても、活用されていました。

-その後、現在の3店舗へと広がっていったのですね?

(和江)はい。順番としては、この店の後、現在の自宅兼の新軽店が1983年5月開業、その後、現在息子がやっている駅前店が1985年4月開業、その後、一時期は万平ホテルでも店をやっていたんですよ。主人は新しい店ができると軌道に乗せたりする役割でやってきました。

-万平ホテルといえば、ジョン・レノンさん御用達のホテルでしたが、もしかすると、その店にいらっしゃったりしたのですか?

(和江)いいえ、実は、ジョン・レノンさんもそうなのですが、特にオノ・ヨ-コさんとこの旧軽店がつながりがあるんですよ。

-どういうことですか?

(和江)ジョン・レノンさんは軽井沢にいらっしゃると、ここで長期で自転車を借りて、オノ・ヨ-コさんが伝票を書いてくれていました。当時奥にあった休憩コ-ナ-で麦茶をお客さまに出していたのですが、ジョン・レノンさんにも日本語で「お茶をどうぞ」と言うと、飲んでいらっしゃいました。

 オノ・ヨ-コさんに自転車を1981(昭和56)年に貸した記録ノ-トが今でも残っています。8月9日から22日まで14日間、幼児用の後ろ椅子の付いたもの。お子さまのショ-ン君が後ろに乗っていたものですね。

 ショ-ン君は1975(昭和50)年生まれ。娘と2つ違いで、一緒の幼稚園に行っていたんです。近くの軽井沢教会幼稚園の夏期保育に世話になっていました。このあたりの旧軽銀座で商売する家庭の子どもはみんな、その幼稚園に通っていました。写真)小野洋子(オノ・ヨ-コ)さんが借りたことを記録したノ-ト

(さや香)以前ここは自宅兼店舗だったので、私は生まれたときからこの店で親が自転車店として仕事をしている姿を見てきて、0歳の時からその幼稚園に通っていました。昭和50年代中盤くらいにショ-ン君が、夏に軽井沢にジョン・レノンさんやオノ・ヨ-コさんといらしたときに幼稚園に預けられていたので一緒だったんです。小さいころは意識していなかったけれど、大きくなったら、あの子がジョン・レノンさんの息子さんだったんだなと。

写真)店内に飾られるオノ・ヨ-コさんからもらった帽子

(和江)オノ・ヨ-コさんに頂いた帽子を、ここに飾っています。ジョン・レノンさんが亡くなった後の1987(昭和62)年、ショ-ン君がキャンプに参加している間、ヨ-コさんは軽井沢にいらしていました。その時、夏の終わりに「麦わら帽子をあげるわ」と言ってくださったもので、「サイン書いて」と頼んで気持ちよく書いてくださったので、店にずっと飾っています。

写真)オノ・ヨ-コさんのサインが記された麦わら帽子

-オノ・ヨ-コさんはどのような方ですか?

(和江)背丈は高くない。気さくに話してくださる方です。最初は、1979(昭和54)年くらいにヨ-コさんのめいっ子さんが自転車を借りに来て、お金はおばさんが払うからと。そこでいらしたのがオノ・ヨ-コさんで、びっくりました。その後、また別の年に、ジョン・レノンさんとオノ・ヨ-コさんが自転車を借りにいらして、ショ-ン君も乗せて、という風に軽井沢にいらっしゃると、ここに来てくださいました。またいらっしゃるだろうと思っていたら、ジョン・レノンさんがあんなことになってしまいました。

(和江)ジョン・レノンさんのことを見かけても、「プライベ-トで軽井沢いらしているのだから」と町の人たちはそっとしておいてあげていました。また来年も来てくださるだろう…。それくらい軽井沢は身近な存在になっていたと思います。実際に店などでやり取りするのはオノ・ヨ-コさんだったので、我々も親しみを覚えていました。

-オノ・ヨ-コさんが2月18日で90歳をお迎えになりました。何かお伝えしてみたいことはありますか?

(さや香)軽井沢でオノ・ヨ-コさんと生前のジョン・レノンさんとショ-ン君と3人で自転車に乗ったりしてのんびりした良い思い出になっているのならうれしい。ショ-ンさんもまた軽井沢に来ていただけるなら、この店へも立ち寄ってほしいですね。

(和江)90歳のお誕生日おめでとうございます。お体のことがあるので無理に軽井沢に来てとは言えませんが、本当にいつまでもお元気に過ごしてほしいです。

-ありがとうございました。

オノ・ヨ-コさんは2月18日で90歳を迎えた。軽井沢にはオノ・ヨ-コさんやジョン・レノンへの思いを今も大切に語り継ぐ人たちがいる。

写真)「サイクルメイトQ」旧軽本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース